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  • Writer's pictureMayumi Kuze

私たちと食の関係性はどこからくるの?イベント内容

Updated: Sep 15, 2022

こんにちは!ブログ担当のまゆみです。


 新体制になって初めてのワークショップ、「食と私たちの関係性はどこからくるの?」は、今までのイベントとは形式も方向性も違うものになりました。ご参加くださったみなさん、ありがとうございました!


 今回のテーマ、「食と私たちの関係性はどこからくるの?」は、メンバーの一人で、大学で食品化学を専攻しているりかの提案で決まりました。食文化や食事、心と体の健康にとても興味を持っているりかのパッションがワークショップでも発揮されました。今までのイベントでは、中立的な立場でファシリテーションをすることを目指してきたtoriaezu.ですが、今回は、ワークショップのナビゲーターを務めたりかと私、まゆみを中心に、メンバーの一人一人がそれぞれの意見や経験を思う存分参加者の皆さんとシェアさせていただきました!😃


 イベントの前半は、ミニレクチャーと題して、私がダイエットの歴史、そして食事制限と健康の関係についてお話しした後、りかが食事制限を美容・見た目の面から考察してみました。


 まず歴史について。ダイエットというコンセプトは古代ローマ帝国時代からあったことが分かっています。紀元2世紀、ギリシャ人医学者、ガレノスが提唱したダイエット方法が、「短時間で痩せられる」と、当時のローマの人々を熱狂させました。しかもガレノスのダイエット方法は、運動、入浴、そして食事に気をつけるという、今の主流のダイエット方法とほぼ変わらないものでした😲

 今流行っている糖質制限ダイエットも、19世紀半ばに、葬儀屋をしていたバンティングによってイギリスで提唱されていました。このダイエットは、具体的には、運動をする、体に良いものを食べ、また食べすぎない、そして入浴して汗を流す、という方法で、今と変わりません。

 この時からダイエット方法が確立されていた、という考え方もできますし、1800年以上が経った後でも、ダイエット方法はほとんど進歩していない、と考えることもできます🤔


 次に、健康になりたいからという理由でダイエットをする人が多い中、ダイエットは本当に健康に繋がるのか?ということについて考察しました。

 そもそも、太っていることは不健康なのでしょうか。高血圧、II型糖尿病、心臓病などの、いわゆる生活習慣病は、体重と正の相関関係にありますが、体重が重いことがこれらの病気を引き起こすという因果関係は、実は明らかになっていません。これらの病気と体重の両方に関係している、まったく別の理由があるかもしれないのです。

 また、体重を減らそうとすることは、そもそも不自然なことだと考えている専門家がいることも紹介しました。人間の体は他の動物と同じでエネルギーを体に蓄えるようにできており、故意に体重を減らすことは、そもそも不健康なことかもしれないのです。現に、アメリカでは、ダイエットする人の98%が、5年以内にリバウンドし、66%は以前より体重が増加しています。このような体重の増減の繰り返しは、かえって体への負担となるのではないでしょうか。

 また、個々のダイエットの方法も、様々な健康リスクを孕んでいる可能性があります。例えば、最近特に人気があり、歴史のコーナーでも紹介した糖質制限ダイエットには、体内でケトン体という物質が増加することによる口臭、頭痛の発生や、炭水化物不足による疲れ、集中力の低下、また食事が偏ることによる肉類や塩分の過剰摂取など、色々な体への悪影響を及ぼす危険性があります。しかし、多くの場合、ネットにダイエット方法の情報があふれていて、何が正しいのかわかりにくかったり、極端な方法に走りやすかったりするのが現状です。

 最後に、私から紹介したのは、よく体重と身長のバランスを割り出す指数として使われる基準値、BMI(Body Mass Index/ボディーマス指数)の、あまり知られていない真実です。まず、このBMIは、実は1830年に編み出された、とても古い指数なのです!また、考案者はベルギーの天文学者で、個人ではなく、人口全体の体重と身長の関係を測るものでした。そもそも、個人の健康状態を測ろうという、医学的な観点から作り出した基準値ではなかったのです😨また、BMIは骨密度・筋肉量・年齢などを考慮しないため、例えば筋肉量が多いため体重の重いアスリートの場合、BMIでは肥満や太り過ぎと診断されることが多々あります。BMIというと、医学的に筋が通っているように聞こえ、医療機関でも頻繁に使われていますが、本当に健康状態の基準として使って良いのか、一度考え直すべきではないでしょうか。参加者の方からも、このBMIの成り立ちや意味について、驚きの声が聞かれました。


 そして、ここからは、もう一人のナビゲーター、りかにバトンタッチしてミニレクチャーの続きをお送りしました。

 痩せることが健康に繋がらないかもしれないのなら、そもそもダイエットは必要なのでしょうか?ダイエットをしている人の動機として、健康のためという理由に並んで一般的なのが、自分の見た目を良くしたいから、というものです。芸能人やインフルエンサーを見ていると、ここ数十年は痩せていた方が綺麗という世間的な認識があると思います。

 もちろん芸能人やインフルエンサーの方に問題があるわけではないですが、こうした世間的な認識は「痩せるべき」という考えを人に押し付ける有害なダイエット文化の助長に繋がると考えられています。

 アメリカの栄養学者、また摂食障害の専門家で、「アンチダイエット」という本の著者であるクリスティー・ハリソン氏は、著書の中で、有害なダイエット文化という言葉を使い、以下のように定義づけています。

  • 痩せていることが「健康的」「善」と捉える

  • 食べ物や食生活を善悪で判断する

  • 体系によって人を抑圧する

このような文化に影響を受けたことのある人や、こういう考え方を持っている人は、現代社会において、とても多いのではないでしょうか。

 また、りかが、メディアの影響力の大きさについても自身の経験を交えて語りました。私たちはテレビや雑誌で紹介される『ダイエット特集』やSNSのおすすめで流れてくる「激痩せするレシピ」、YouTubeの広告を日常的に目にしています。ダイエットの存在を知らない人はむしろこの世にいないのでは?と感じるほどです。

 りか自身も、女優さんやKPOPアイドルに憧れて、「彼女たちの美しさはスタイルのよさから来ているんだ」と思い込んでいたそうです。また、彼女たちのようになりたいと、無理な食事制限をして、摂食障害になりかけた知人もいるといいます。

 性別・年齢を問わず、美容の面でダイエット文化の有害な影響を受けがちです。自分は自分だと割り切って考えるようになることが、この時代を生きやすくするコツだと思う、というりかのメッセージが、美容とダイエットのコーナーをまとめました。


 続いて紹介したのは、直訳すると「直感的な食事」を意味するIntuitive eatingという食事法です。食べ物を「良い」「悪い」という基準で判断するのをやめる、心と体の健康のための食事法で、1995年に、アメリカの二人の管理栄養士によって確立されました。一言でまとめると、ダイエットのルールで誰かに決められた食事時間、量、内容などにこだわらず、自分の空腹具合から食事をするタイミング、食事の内容、量を決めるのがIntuitive eatingです。具体的には、

以下の10の心得がリストされています。

  1. ダイエットのマインドを捨てる(簡単に体重を減らせると信じるのをやめ、体重を減らすことを最終目標としない。信じるべきものは自分の選択と食べ物!)

  2. お腹が空いたら食べる(炭水化物は敵ではなく、エネルギーを与えてくれる味方。しっかり摂ることで、むしろ暴飲暴食を防げる。自分の空腹のサインに気づいて食事を取ろう)

  3. 食べ物と幸せな関係を持つ(食べることを善悪で判断するのをやめる。好きなものを食べることを自分に許そう)

  4. フードポリスとさようなら(食べることに罪悪感を覚えさせようと囁いてくる、自分の心の中の声に左右されないで。完璧主義を捨てて、好きなものを食べ、喜びや満足感を嚙みしめよう)

  5. 心が満足する食事をする(自分が何を食べたいのか五感で考えることで、自分の体が必要としているものを自然に食べられるようになる。食事を楽しもう!)

  6. 満腹のサインを感じる(満腹のサインにも耳を傾け、無理して食べきらない。ながら食べをせず、食事に集中する)

  7. 感情的な食べ方をやめる(食事制限は、暴飲暴食ややけ食いを引き起こしがち。怒りや孤独感、不安、退屈などの負の感情は食べることでは解決しないと気づこう。食事以外で心を落ち着かせる方法や、問題の根本的な解決法を探ろう)

  8. 自分の体をリスペクトする(自分が生まれ持った体をリスペクトしよう。そうすることで、自分を好きになれる。全ての体型が、尊厳と愛されることに値する!体重を測るのをやめてみてもいいし、何かの行事を理由に痩せなければと思う必要もない。)

  9. エクササイズは気持ちが良いかどうか(カロリー消費ではなく、体を動かした後に自分がどう感じるかに注目してみる。毎日できる範囲で、自分が楽しめる方法でアクティブになってみよう)

  10. 栄養バランスに固執しすぎない(健康と美味しさを両方兼ねて、満足できる食事をしよう。何を食べても、一回の食事で栄養不足や不健康になったりはしないから大丈夫。それよりも進歩と継続が重要)

 

ワークショップでは、これらの10の心得を受けて、参加者の方がそれぞれの食との向き合い方をシェアしたり、質問を投げかけあったりしました!toriaezu.メンバーにとっても、参加者の皆様の質問や体験談、ご意見から多くの学びがありました🙏


 最後に、りかからの、次のようなメッセージでワークショップを締めくくりました。

 いわゆる「健康的な食事」や「ダイエットしよう」と思える環境にいることは、特権であり、世の中には栄養失調や飢餓で残念ながら命を落としてしまう方達がたくさんいます。ほとんどのダイエットは自分の体をずっと空腹状態で保つことで効果を発揮しています。生きるために食事をしていたら、ダイエットしようという考えには至らないのでは、と思うのです。

 年々お野菜の値段も高騰しているし、忙しい現代に生きる私たちは毎日自炊する時間もなかなか確保できません。私もたびたびファストフードや冷凍食品に助けられています。健康的な食事はそれなりの収入や時間、アクセスがないと難しいのです。これはintuitive eatingにも同じことがいえます。

 しかし、だからこそ、カロリーや食事制限にとらわれずに、日々の食事を楽しんでもらいたいと思います。


 これは、りか一個人の意見ですが、私たちtoriaezu.が共通して伝えたかった思いでもあります。参加者の皆様、そしてこの記事を読んでくださった方が、少しでもご自身の体を前向きに捉え、また食事を楽しむことに繋がれば幸いです!

 今後も、多種多様なテーマで、中身の濃いワークショップをたくさん開催する予定ですので、どうぞご期待ください💛


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